032_水の力
機能する水


 客観的に有用と認められる効果や性質を付け加えられた水を機能水という。飲用水である水道水や、地下水をそのままではなく何らかの処理をすることによって、殺菌力を高めたり健康改善を促進する機能などを付加した水を機能水と呼んでいる。

 機能水には処理方法にさまざまな種類があり、その処理と機能の化学的根拠が明らかにされているものもあるが、処理の化学的解明がなされないままにその機能や効果については実証され実用化されている機能水もある。また、機能水と称しながらも処理方法や処理水の効能について科学的な根拠に乏しいと思われるものもある。

 有用な機能水にはどのようなものがあるかと言えば、水を電気分解して得られる電解水、直径1ミクロン以下の超微小気泡を発生させたナノバブル水、水の純度を極限にまで高めた超純水、圧力や温度を臨界点まで高めた超臨界水や亜臨界水、強力な磁場を通した磁化処理水、高周波処理をした高周波還元水、オゾンをとけ込ませたオゾン水、など多様である。

 超純水は、半導体や電子部品など精密部品の洗浄に幅広く使われている。
 電解水の一種である強酸性電解水は、殺菌力が強く黄色ブドウ球菌やサルモネラ菌などの細菌やインフルエンザウイルスなどを5秒以内で死滅させ人体への安全性も高いため、食品加工や医療現場での殺菌液剤として使われている。
 やはり電解水の一種である強アルカリ性電解水は、油脂やタンパク質の除去効果がたかいため食品加工や殺菌剤として使用される。弱アルカリ性電解水は、アルカリイオン水として家庭用の飲用水としても使われるが、胃腸症状などの改善効果があるとされる。
 中性電解水であるαトリノ水(日本テクノの商標)は、電解水でありながら中性であり除菌力がありながら人にも優しいため、塩素を使わないプールや浴場での使用に向いており、化粧水や食品洗浄にも利用できる。この水を飲んだ家畜の糞尿の消臭効果があるため都市近郊養豚場・養鶏場などの農業分野でも有用とされる。
 酸素ナノバブル水は、さまざまな効果があり多方面での利用が広がっているが、生命活動を活性化させ滅菌作用もあることより生ガキなどの生鮮食料の保存などに使われている。また、この水を使うと海水魚と淡水魚を同じ水槽に飼育することが可能となるなど極めて特徴のある機能水と言える。
 高温高圧にした亜臨界水は化学反応を促進する触媒機能が発生する。これを利用して界面活性剤の製造コストを極限にまで下げることに成功した洗剤メーカーもある。

 以上は機能水が実際にどのように使われているかを紹介したものであるが、機能水の可能性は大きく奥深いと思われ、未発見の機能水、未利用の機能水もまだまだ多いと思われる。

 機能水は、人工的に処理を施した加工水であるが、自然界にもさまざまな機能を持った天然水があることを忘れてはならない。
 もしこれらの天然水も機能水と呼ぶことができるのであれば、また新たな視点から天然水を見直すことにもなるのではないか。
 例えば、健康保全促進効果を持つミネラルウォーターや海底深層水も有るであろうし、傷病治癒作用を持つ温泉も実際に数多く存在している。フランスのルルド(Lourdes)の泉は、奇跡の泉とも言われ医療困難といわれる難病も治癒できるとされているが、これも天然の機能水とみれば、酸素ナノバブル水やαトリノ水などと化学的・医学的な物性比較をしてみるのも無意味なことではないのではないかと思う次第である。

 機能する水、実に興味深い。