#027 超能力とは(分類)

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超能力とは(分類)


 超能力とは何か?
超能力は超常力ともいい、人間が通常備えている能力を超えた能力をいうが、これには大別してふたつのグループに分けられると思う。

 第1グループは通常の能力を大幅に超えた「超限能力」をいう。例えば、通常の人間が見ることのできる光は波長でいうとおおよそ760~830nmが上界であり360~400nmが下界であり、この可視限界範囲を超えた赤外線(上界より超波長)や紫外線(下界より短波長)は眼では見ることができない。もし赤外線や紫外線、更には紫外線より波長の短い(エネルギーの高い)X線などを見たり感じることができるのであれば、それは超限能力といえる。
 呼吸を停止した場合、脳細胞が無酸素状態で死なないですむのは4分が限度といわれるが、仮にそれより長時間呼吸を停止した状態で生体活動を維持することができるのであれば、それも超限能力とよぶことができよう。
 また通常人間が聞くことができる高音域は25KHz前後までといわれているが、これを大きく超える超音波を聞いたり感じたりできるのであれば、それも超限能力といえる。
 このように人間の通常の能力を大きく超える超限能力は超能力のひとつであるが、人間以外の生物ではこのような能力(人間の通常能力を大きく超えている能力)を備えている場合も多い。ある種の昆虫は紫外線を見ることができるし、マッコウクジラは水深1000メートルまでの潜水をするために90分間も呼吸を止めることができる。また、犬は60KHzまでの音を聞き分けることができるし、コウモリは400KHzまでの超音波の反射音を聞いて空中の昆虫を捕らえることができる。

 人間以外では見られない超限能力として、特筆すべきはサヴァン症候群(savant syndrome)とよばれる人達の中に極めて特殊な能力を有した人がいることが知られている。膨大な量の書物を一回読んだだけで全てを記憶することができる人、一瞬見た風景や立体物を微細にわたって記憶し再現できる人、一回聞いた音楽を完全に記憶し生涯記憶し続けることができる人、ランダムな年月日の曜日を一瞬にして言える人、複雑な数字の四則計算を頭の中で色彩豊かな抽象図形の変異として処理できる人、など通常の人間の能力をはるかに超えた記憶力や情報処理能力も超限グループの超能力といえよう。

 次に第2グループは、通常の人間の日常的に使っている能力とは全く別の、もしくはたとえ潜在能力として持っていても顕在化できないため持っていないと思われている超常能力で、「超感能力」と「超動能力」と名付けられる能力である。
 
 超感能力とは超感覚的知覚能力(Extra-Sensory Perception)のことであり、五感や論理的な推理能力などの通常の知覚能力を用いないで、外界の情報を感覚的に知覚できる能力のことをいう。この超感能力はESP(イーエスピー)と呼ばれることが多い。
 人間は電磁波を感じる器官を持っていないといわれるが、渡り鳥などは微弱な電磁波である地磁気を利用して渡りを行っている。もし地磁気を感じたり見ることができる人がいるのであれば、それは超感能力を持っているといえる。
 一般的には超感能力としては、テレパシー、透視、予知、千里眼などが含まれる。
 これらの能力が備わっている人がいるかどうか、と問われれば「(ごく少数)実在する」と答えることとしたい。しかしながら、マジックとか占いとかその他の超感能力とは全くことなる手段によって結果だけが似ているパーフォンマンスが世に多く存在するのも事実であり、超感能力を有する人間は過去においても現在においても極めて少数であることを知るべきである。

 超動能力とは、念力とか観念動力といわれており、意思の力だけで物体とか他の人間を動かすことをいい、PK(ピーケー/psychokinesis/telekinesis)と呼ばれることがある。
 超動能力を備える人がいるかどうか、これについては私は現時点で答える自信がない。将来の超心理学と量子生物学の発展に期待する、とだけ述べておきたい。

 超感能力は知覚能力であることより受動能力(Passive)であり、超動能力は他動能力(Active)である。第2グループは、これらの相反する超感能力と超動能力とに分けられるが、SFの世界ではこれ以外に自動能力であるテレポーテーション(自意思による瞬間移動や身体浮遊などの超自能力があるが、これはSFに限定したものとしてここでは含めないこととする。

 以上、私の述べたことをまとめると、
  超能力 ① 超限能力
      ② 超感能力 + 超動能力

となる。第1グループ①と第2グループ②の区分は明確ではあるが、人間はあまりにも複雑な調和と未知の可能性のある複合態であることを知っているが故に、将来超能力の研究が進展した際にはこのふたつのグループがクロスオーバーすることがありえる、との予感もしている。

[参照文献]
「シュレディンガーの鳥 生命の中の量子世界」Vlatko Vedral著(日経サイエンス 2011.10号)
「動物の体内コンパス」Davide Castelvecehi著(日経サイエンス 2012.05号)