#017 ガテマラ富士

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ガテマラ富士


 1980年前後に仕事の関係で中米のガテマラ(グアテマラ共和国)に頻繁に出入りしていた。
 ガテマラはメキシコの南に接しカリブ海と太平洋に挟まれた火山国であり、気候は熱帯モンスーンとサバナであるが、首都ガテマラ市(Guatemala)は海抜2000mのガテマラ高地にあるため一年中20度前後の温暖で快適な常春の気候となっている。
 このガテマラ市から190km程西の古都ケツァルテナンゴ(Quetzaltenango)に車で向かうと、まず目に入るのが美しい「水の火山」(Volcán de Agua)である。日本の富士山とそっくりな典型的なコニーデ形(すり鉢形)火山であり、標高3760mで高さも富士山(3776m)とほとんど同じであり、ガテマラに住む日本人は「ガテマラ富士」と通称し日本への郷愁を感じさせるものとなっている。この「水の火山」を「火の火山」(Volcán de Fuego 標高3763m)と並んだ姿で遠望すると一度に二つの富士山を見ているようで感動が湧き上がる。
 更に西に行く途中ではアティトラン湖(Lago de Atitlan)が望める。この美しい湖はガテマラ第二の湖で火山の噴火によってできたカルデラ湖であるが、三つもの富士山形の火山で囲まれている。アティトラン火山(3535m)、トリマン火山(3158m)、そしてサンペドロ火山(3020m)である。一度に三つの富士山が見えるパノラマは日本人にとっては言葉に尽くしがたい絶景となる。
 湖に面した山からは白い滝が流れ落ち、人工物のひとつもない原自然の緑と水色の風景が残っていた。江戸時代、更に遡って平安時代の日本はこのような風景であったのであろうかと想像してしまう、まさに時を超えた「超日本自然」の世界であった。
 いつか再びガテマラを訪れ、ガテマラ市内のレストラン「アシエンダ」(Hacienda Real)でロミート(Lomito/フィレ肉)のステーキを舌鼓ながら水の火山を望んでみたい、と思っている。

[参照文献]
[http://en.wikipedia.org/wiki/File:Volcán_de_Fuego_and_Acatenango.jpg]
*(右) 水の火山 (左) 火の火山 (右陰) アカテナンゴ火山は水の火山の裏側に隠れて見えない。